3月4日、アリオ上尾(埼玉県上尾市、主催・経済産業省)で「サポカー実感試乗会」が開催された。衝突事故の回避に役立つ「衝突被害軽減ブレーキ」搭載車、ペダルの踏み間違いによる急発進を抑える「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」を装着しているクルマに同乗し、それぞれの機能がどのように作動するのかを実感するイベントだ。
試乗会にはホンダ、スズキ、ダイハツの自動車メーカーと、後付けタイプの急発進抑制装置をラインアップするデータシステムとサン自動車が参加した。また、交通事故を抑制するための啓発活動として埼玉県警や高齢者安全運転支援研究会(特定非営利活動法人)、イベントを報道するテレ玉の姿もあった。
衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑制装置が付いたクルマをマイカーにしていても、その機能を体験する機会はめったにない。アクティブクルーズコントロール(ACC)は渋滞中に便利だなと実感できても、衝突の寸前で自動的に急ブレーキがかかる場面には、できるだけ遭遇したくない。
衝突被害軽減ブレーキは、「時速20㎞/hで走行しノーブレーキでクルマを描いたボードに向かっていくとどうなるか」という状況で試した。試乗車は、見事に衝突を回避。ただし、シートベルトを着用していなければ、ダッシュボードまで飛ばされるのではないかというほどの急ブレーキがかかる。
「丁寧なブレーキ操作にしていないのは、あくまでもドライバーが衝突を回避するように運転してもらうためです。追突の対象となるクルマと自車の間隔は1m以下程度で止まります。制動力の出し方や止まる距離は、どのメーカーでもほぼ同じになるように調整しています」と、デモカーを運転してくれた関係者は説明してくれた。
ペダルの踏み間違いは、毎年のように大きな事故が報道されている。デモカーの助手席に座っていると、ドライバーが一気にアクセルを踏み込む。しかし、クルマは少しも動かない。急なペダル操作は「異常」と判断して、加速が自動的にキャンセルされるのである。
これはデータシステムの後付け装置「アクセル見守り隊」を装着した場合でも同様である。装置を付けたプリウスの運転席に座り、ゆっくりとアクセルを踏む。日常的なアクセル操作の範囲だとシステムが判断すれば、普通に加速する。ところが、一気にアクセルと踏み込むと、警報音が異常を知らせるだけで、クルマは発進・加速しない。データシステムの製品は停止時から10km/h以下で走行している場合に作動する。
交差点待ちで急発進で事故を回避することを想定しているドライバーは、停止時に手元のスイッチでシステムをキャンセルにすればOK。坂道発進などの場合も同様だ。システムのキャンセルは、アクセルを踏むと無効になる。したがって、この操作は「急加速が必要になるかもしれない」とドライバーが判断したときだけ使える。
別売りのウインカー連動キャンセルアダプター(4400円)を装着すれば、ウインカーを出しているときはアクセル操作を優先するモードに切り替わる。
データシステムのアクセル見守り隊は、国土交通省認定の装置で車検に対応。電子スロットル車に適合する。オートバックスで販売している「ペダルの見張り番2」は姉妹品に当たる。
高齢者安全運転支援研究会が来場者に説明していた「いきいきドライブ体操」は「運転寿命を延ばす」効果が期待できる。運転のための準備運動といえる体操で、ハンドル操作のための運動、合流・駐車・左折右折のための運動、注意力・血流量アップのための運動、ブレーキとアクセル操作のための運動、運転に疲れた時のための運動で構成されている。
安全運転は年齢に関係なく、すべてのドライバーにとって最も重要なテーマである。チャンスがあれば、こうした体験会に参加して、最新の安全運転支援機能の作動実態を知っておくと役に立つ。