多人数乗車時のしっかり感など確実な進化が感じ取れる
ダンロップのミニバン用タイヤがフルモデルチェンジした。新型エナセーブ RV505は、パターンデザイン、形状、コンパウンドなどすべてが進化。とくにパターンデザインは特徴的で、タイヤ幅215以上の縦溝が3本、205以下が2本と、縦溝を思い切って少なくしてブロック剛性を向上。重心が高いミニバンの安定性を高める 新技術"ふんばりテクノロジー"を採用した。
▲非対称デザイン採用 タイヤ幅215以上は縦溝が3本 アウト側(写 真では右)ブロックを拡大してミニバンの高重心・高荷重への対応力 を強化 155/65R13~245/35R20の全48サイズ 価格はオープン
▲タイヤ幅205以下は縦溝2本としてブロックの横剛性を引き上げた 特許出願中のプラスリブやふんばりテクノロジーを採用
新型のパターンデザインは 耐偏摩耗性の向上も大きな狙いだ。ダンロップの調査によ ると、ミニバンの廃タイヤの半数以上がショルダー部の偏 摩耗で早期に交換されていた。 新型はショルダー部の改良によって、耐偏摩耗性を旧型比53%改良したという。
接地面の溝とブロックの比率は、溝を5%減らしてブロックを拡大。横剛性を高め、操縦安定性と耐摩耗性を引き上げた。 ピッチ個数は増やしてブロックの前後剛性を抑制。接地形状を丸く仕上げるなど、巧みに乗り心地や静粛性とのバランスをとっている。
サイドウオールは全体で荷重を受け止める形状に改良。 ホイールに近い部分の高剛性 部材を広く設定して強化。コンパウンドも全面刷新するなど、あらゆる部分が進化した。
▲4名プラス40㎏の荷物を載せた状態でレーンチェンジを試す 旧型はタイヤの柔らかさが手応えに表れ挙動が遅れがち 新型は操舵初期からシュアな挙動
テストコースで新旧モデルを比べた。クルマはトヨタ・アルファード、タイヤサイズは235/50 R18 。荷重条件は4名乗車プラス 40 ㎏の荷物を積んだ状態だ。RV505装着車は、操舵初期の反応でタイヤのしっかり感が伝わる。 新型は横方向にブロックが変形したときに接地してグリップを向上するプラスリブを採用。幅1㎜のプラスリブの効果もあって、レーンチェンジやコーナリング時のふんばりが実感できる。
▲旧型は4本溝 新型は3本溝でブロックが横方向に大きい とくにショルダーブロックは明確に大型化した
旧型RV504装着車は、タイヤの変形が感じられ挙動が遅れがち。インチアップサイズならまだいいが、純正サイズの積車状態では圧倒的に新型のメリットが大きい。
一般道はトヨタ・ノア、スズキ・スペーシア、VWトゥーラン、ルノー・カングーの各車でRV505を試乗した。 トゥーランとカングーはダンピングが良好でフラットな特性がマッチ。新しいコンパウンドはミクロでは柔らかく、マクロには固い特性を持つ。つまり、路面の当たりや表面のザラザラはソフトに受け止め、 乗り心地と静粛性を向上。レーンチェンジやコーナリングではブロック変形を小さく抑える。コンパウンドとパターンデザインの相乗効果で、快適な乗り心地とハンドリングが両立できたわけだ。
▲VWトゥーランとエナセーブRV505の組み合わせ キビキビとスポ ーティにワインディングを走れて気持ちがいい 乗り心地も自然な感じ
ノアやスペーシアとのマッチングは、2名乗車だと少し縦方向の固さを感じる。もっと多人数乗車のほうがマッチするイメージだ。キビキビと走れるが、ソフトではない。高速域や乗車人数が多いときの操縦安定性を重視した、スポーティな特性といえる。
▲トヨタ・ノアに新型RV505を装着 2名乗車時はスポーティな印象 タイヤの剛性に余裕があるため多人数乗車時は威力を発揮しそう
ダンロップは新ブランドメッセージとして"事故のない毎日を作りたい"をアピールしている。そして具体的に、従来のタイヤとの違いをユーザーが実感できるニューモデル開発をスタートさせた。新型RV505は、確かに旧型との違いが明らかな仕上がりだ。 ラベリング制度の転がり抵抗とウエットグリップは39サイズがAA―bで、低燃費性も優秀。発売は6月1日。スポーティさを好み、多人数でミニバンのドライブを楽しむユーザーに選んでほしい。