ドライ性能を極限まで追求したフラッグシップタイヤ、イーグルＦ１スーパースポーツ誕生

３種のスーパースポーツタイヤ、デビュー

　グッドイヤー最新の本格スポーツタイヤ、イーグルＦ１ファミリーの試乗会に、スペインのマラガへ飛んだ。試乗はイーグルＦ１スーパースポーツと、上位のスーパースポーツＲの２モデル。 最上位にはスーパースポーツＲＳも用意されるが、今回の試乗はＲまで。コースはロンダにあるアスカリ・サーキットが舞台。１周5.4 ㎞と長くテクニカルなレイアウトを、散水によるウエットセクションも含めて３カ所に分けて使う。

▲フェラーリ488GTBとイーグルF1スーパースポーツの組み合わせ　粘るグリップで強力なトラクションを発揮

　 まずはフェラーリ488ＧＴＢに装着されたスーパースポーツのドライ走行から。非対称パターンは、見た目だけではなく、ゴムの特性も内側と外側で異なり、とくにドライグリップとハンドリングに貢献している。

　 488の車両安定制御は、ある程度のスライドを容認するレースモードを選択。インストラクター役のスタッフが助手席に座り「ゴーゴー」という。コースは熟知しているのでいきなり全開 !! 　急激なターボトルクを受けて、リアタイヤは一 瞬のホイールスピンとともに豪快にダッシュしていく。グリップ力は粘る感触が強い。

▲イーグルF1スーパースポーツ　新世代フラッグシップタイヤとしてデビュー　アウト側とイン側で異なるゴムを搭載　205～305／45～30／18～21㌅の全25種　VWゴルフGTIからポルシェ911ターボまでマッチ

　 コーナーにオーバースピードで進入すると、どのような挙動を示すか。ステア操作に 対して、穏やかだが忠実にノーズが入り、リアは粘りながらわずかにスライドを発生。 その動きの唐突ではない点が印象に残る。路面との当たりにも固さや尖った特性はまったくなく、ソフトだが強力な接地感と、 動きの穏便さによるコントロール性が優れている。

　 488のターボトルクを 炸裂させて試乗してもそう思うのだから、クルマの特性を変化させる能力の持ち主である。

▲アルピーヌA110にイーグルF1スーパースポーツを装着　ナチュラルでスムーズな応答性を披露　ウエットの限界域もコントローラブルな特性

　 同じスーパースポーツをアルピーヌＡ110に装着、ウエット路で試乗した。クルマの操安性の高さにもよるが、ウエットでの応答性は自然で正確。グリップからスライドへの移行がつかみやすく、操作に余裕が持てるというメリットが実感できる。

　 スーパースポーツＲは911ＧＴ3・ＲＳに装着されていた。接地形状の最適化とハイグリップコンパウンドによる特性の違いは明らかで、タイヤ単体の剛性の高さ、確かさが即座に感じられる。

　 まず速度域が違う。グリップ力そのものも強力で、限られた走行時間ではＧＴ3・ＲＳとタイヤのグリップ限界を探ることはできなかった。

▲イーグルF1スーパースポーツRをポルシェ911GT3・RSに装着　強力なグリップとシャープなハンドリングを発揮

　 タイヤの構造の話は省くが、太い３本の主溝は外側の１本にブリッジを設けて、排水溝率よりトレッド剛性を高める狙い。非対称デザインの半分以上を占めるスリックライクなトレッド面は、日本のＳタイヤのイメージに似る。

　 直進状態でのステアリング中立が確かで、操舵力も強く、直進状態に戻ろうとする反力 に抵抗しながら切り込む。切りはじめのノーズの動きの速さと正確さ、旋回Ｇの高さに驚く。グリップは余力が残っていて、駆動力をさらに与えることも可能。 旋回速度と旋回Ｇはまだまだ高められる。

▲イーグルF1スーパースポーツRはサーキットのグリップレベルを高めたうえシュアなステアリング手応えを追求　205～305／40～25／18～21 ㌅の全10種　ターゲットはVWゴルフGTIからポルシェ911GT3まで

　 このグリップ力と運動性能は、他社と比べてどのレベルなのか。事前情報ではライバル比較ができる予定だったが、現地には用意されていなかった。直接のライバルはミシュラン・ パイロットスポーツカップ２とピレリ・トロフェオＲだという。ピレリは未試乗だが、 パイロットスポーツカップ２の特性を思い起こすと、相似している感覚。最新のスーパースポーツＲが勝っているようにも感じられる。

　 幅広い車種をカバーするスーパースポーツと、サーキット派をターゲットにするスーパースポーツＲ。試乗はしたものの、日本導入時期は現在のところ未定だという。

▲イーグルF1スーパースポーツRSは公道を走れる溝つきタイヤと して究極のドライグリップを追求　サイズは265／35ZR20と325／ 30ZR21の2種　実質的にはポルシェ911GT2・RSまたはGT3RS専用