ピレリPOWERGY(パワジー)は日本では2022年2月に発表、3月からリリースを開始した新世代サマータイヤだ。
クロスオーバー、セダン&ワゴン、ミニバンなど幅広い車種がターゲット。安全性とサステナビリティをテーマに開発され、ウエットグリップと転がり抵抗のハイレベルな両立に注力。ラベリング制度の転がり抵抗とウエットグリップはAA-aが16サイズ、A-aが47サイズ、A-bが3サイズの全66サイズが低燃費タイヤ基準をクリアする。
低騒音化も考慮された新世代のパターンデザインは、非対称タイプを採用。排水性は縦方向の溝で確保し、アウト側ショルダーブロックと3本のリブにスリック状のエリアを配置することでハンドリングとドライブレーキングを向上、イン側のヒレ型サイプと各サイプを最適に配置させることで快適性と静粛性を高めながらウエットブレーキング時のエッジ効果を発揮するよう考えられている。このパターンデザインは、ピレリが得意とする最新のバーチャルリアリティ技術を駆使して、わずか18カ月で開発を完了したという。プロトタイプの数量を削減して、環境にも配慮した開発が実現したそうだ。
ピレリのタイヤといえばP ZEROを筆頭にスポーツタイヤが名高い。エコタイヤはCinturatoシリーズを豊富にラインアップする。POWERGYはスポーツとコンフォートの中間的なキャラクターで、低燃費や低騒音に配慮したというから、幅広い車種にマッチしそうだ。今回はマツダ・ロードスターRFに装着して試乗した。
ロードスターはタイヤの特性が手に取るようにわかるクルマだ。POWERGYを装着すると走り始めた瞬間から軽快でスムーズな回転フィールに少し驚く。静かで快適。乗り心地は固すぎず、丸みを帯びたショック感で凹凸をいなしてくれる。表面が荒れた路面で発生する“ゴー”というロードノイズが低く抑えられている。平滑な路面のパターンノイズも小さいため、ルーフを開けたときも閉めたときもタイヤのノイズが気になりにくい。これはPOWERGYの大きなメリットだ。
バーチャルシミュレーションで仕上げた接地面の形状とコンパウンドの固さが、ほどよくバランスし、適切に路面をホールドする。手応えは注意深く観察すると柔らかい感触が若干あるが、従来の低燃費タイヤにありがちなサイドウォールの弱さが気になるようなことはなく、素直に自然なフィールで走れる。
ワインディングも走ってみたが、素早い操舵に自然についてきて、気持ちよく走れた。低燃費でノイズが小さく快適にドライブできるバランスのよさが魅力的なタイヤだ。