ホンダ・モデューロ30周年! まずはおめでとうございます~♪ というところですが、実はモデューロはアルミホイールから始まった…ということ、ご存じでしたか? お恥ずかしながら、私はまったく知りませんでした。
というのも、最近はモデューロXという名前のコンプリートカーのイメージが強く、てっきりエアロパーツからスタートしたブランドなのだと思い込んでいたのです。ところが、なんとアルミホイール。しかもスポーツカーではなく、セダンのホンダ・ビガー用がスタート地点。当時は、こういった高級セダンが流行っていたということもありますが、一般的には鉄ホイールからアルミホイールに替えるだけでも、見た目がオシャレになったりと、十分価値があった時代だったからということなのでしょう。
そんな中でモデューロは、ホンダアクセスという自動車メーカーのアクセサリー部門が送り出すため、“見た目だけカッコイイ”が許されないわけです。デザインはもちろんですが、耐久性や安全性もしっかり保証しなければならない。ということで、テストの回数も半端ない。なんたって、当初からエアロパーツは風洞を使った実験なんかも行っていたそうですからね。
メーカー直系ということもあり、見た目的に思い切ったことができない…なんていうこともあったのかもしれませんが、きっと想像を超える大きな制約の中でも、チャレンジングな挑戦を続けてきたのがモデューロ。デザインとともに性能面でも信頼が高いブランドとして、さらに今ではトータルコーディネートのコンプリートカーとして、多くの方に認識されています。
モデューロの原点とも言えるアルミホイールの最新作が、ヴェゼル専用設計のMS-050(18in)。アルミホイールをサスペンションパーツの一部と捉えて設計した意欲作です。単純に剛性が高いとか、軽いとかいうだけでなく、ディスク部分とリム部分のバランスから始まり、部分部分で剛性を変化させることでしなりを生み出し、路面への追従性を高めているのがキモなんだとか。 数多くあるクルマのパーツの中でも、路面に接地しているのはタイヤだけ。いかにタイヤを上手に使わせるかというのが、ホイールを含めた足回りのパーツのやるべきことであり、4輪をきちんと接地させて、4輪で舵を切るためにはどうすればいいかということを、トコトン突き詰めて開発されているということなんですね。
鍛造構造ではないのにこんなことができるのか? と思ったのですが、基本的な鋳造構造に加えて、一部に鍛造構造を取り入れたりと、さまざまな工夫を凝らすことで生み出された技なんだそうです。
標準アルミとMS-050を装着したヴェゼルを比較試乗。実際乗ってみると、これがまぁ驚くしかないという感じなんですよ。MS-050だと、まず、後輪をちゃんと感じ取ることができるんです。接地しているのが肌で感じられるから安定感が違うし、それが大きな安心感につながっています。
実際クルマが安定しているから、ヘンに振り回される動きもない。これが市街地を走る速度、極端に言えば時速1kmから感じ取れるというのが、またスゴイこと。これまで、アルミホイールは“オシャレな靴を履く”みたいなものでしょ? と思っていた方、これは超機能性の高いスポーツシューズに履き替えるくらいの違いがあるということです。とくに雨とか雪とかハードなシーンでの安心感がグッと向上するので、運転が苦手な方にこそ是非オススメしたいパーツだということを、声を大にして宣伝したいと思います。それほどの違いを実感しました。
もうひとつ驚いたのが空力パーツ。今回開発時に使う、通称ぬりかべという、いかにも空力が悪くなりそうなバンパーを装着したもの。通常のバンパー。そしてモデューロのバンパーを装着したS660を体験したのですが、驚きました。走行中のいちばんの抵抗は空気抵抗であるということを知ってはいたものの、ここまでとは! というのを再認識することになりました。空力的に最適化されたモデューロのバンパー装着車は走りやすいのです。
同じカーブを曲がるにしても舵角が違うのは言うまでもなく、アクセルを踏む量が少なくて済むのです。ストレートではなおのこと差が出てきますから、これは燃費の向上も間違いなく見込めます。舵角量も操舵量も少ないということで、クルマの動きにも余裕が出て、運転が苦手な方の安心感の向上にもつながります。クルマの安定感が大幅に向上するので、ひいては車酔い防止にもつながってくるというレベルの差。それが街中速度から十分感じられるのです。平たい言い方をするとお金を出す価値のあるパーツであることは間違いありませんでした。
明らかに機能価値があることは、同乗のカメラマンの「隣でもわかった。モデューロ凄い!」という言葉に集約されているように思います。メーカー系アイテムって、やはり別格なんですね。