レゾナック、新環境規制「EURO7」に対応したEV向け高性能ディスクブレーキパッドを開発

 化学会社のレゾナックは、電気自動車(BEV)に搭載する電動ブレーキシステムを見据えた高性能ディスクブレーキパッドを開発し、2026年に向けて量産化を目指すと発表した。

EV向け高性能ディスクブレーキパッド

▲欧米市場向けディスクブレーキパッド(イメージ)

 レゾナックグループは、半導体・電子材料、モビリティ、イノベーション材料、ケミカル等を展開し、幅広い素材・先端材料テクノロジーを持つ化学会社だ。2023年度の売上高は約1兆3000億円、うち海外売上高が53%を占め、世界22の国や地域にある製造・販売拠点でグローバルに事業を展開している。

 レゾナックは旧日立化成時代の1967年にブレーキパッドの製造を開始して以来、日本をはじめ中国、タイ、メキシコ、インドに生産拠点を持つなど、グローバルに事業を展開している。

Resonac(レゾナック)グループ

▲Resonac(レゾナック)グループ

 今回発表されたパーツは、電気自動車(EV)に搭載する電動ブレーキシステムへの採用を見据えたノンアスベスト系摩擦材(NAO材)の高性能ディスクブレーキパッドだ。

 ガソリン車と比較し車体重量が重いEVでの使用環境下において、高い制動力と耐摩耗性を発揮。現在、2026年量産化を視野に、欧州Tier1ブレーキシステムメーカーにサンプルを提供し、電動ブレーキシステムへの適合性評価を進めている。

 このブレーキパッドは原材料にアスベスト(石綿)や鉄を含まず、ブレーキ時の摩耗が少ないため環境負荷が低く、静粛性に優れている。素材の特性を生かした配合の工夫等により、欧州で主流のロースチール系ブレーキパッドと同等レベルの高いブレーキ性能を実現した。

▲新車製造における大気汚染物質排出基準「ユーロ7(Euro7)」

 近年、自動車業界においては、カーボンニュートラルなどの環境問題へ対応するためEV化が急速に進んでおり、世界の新車販売のうちEVが占める割合は、2035年には50%に達すると予想されている※1。

 EV向けのブレーキパッドは、車体重量の増加によりブレーキへの負荷が高くなることに加え、回生協調ブレーキ※2との適合性も重要となる。

 さらに、2028年以降欧州で適用される新環境規制「EURO7」では、ブレーキの摩耗による粉塵も規制の対象となることから、制動力に優れ、かつ摩耗の少ないブレーキパッドが従来以上に要求される。

 新しいブレーキパッドはEVと組み合わせても、安定して高い制動力を発揮。また、耐摩耗性においても、WLTP走行モードを模擬したブレーキ台上評価において、一般的な欧州ロースチール系ブレーキパッドの30%以下の摩耗粉排出量を実現したとしている。

※1:2024年4月23日発表 国際エネルギー機関(IEA)年次報告書「世界のEV展望」より

※2:回生協調ブレーキとは、EVに搭載されるブレーキシステムで、回生ブレーキと摩擦ブレーキを組み合わせて効率的な減速を実現する。車両の減速時に発生する運動エネルギーを電力に変換し、バッテリーに蓄えることでエネルギーを再利用できる。

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