クルマ系YouTuber・黒木美珠さんが「サーキット走行後のタイパ洗車術」を披露

クルマ系YouTuber・自動車ライター・黒木美珠

サーキット走行後のタイパ洗車術

 


洗車を好きになったきっかけ

 洗車を好きになったきっかけは、社会人1年目が終わる頃にさかのぼる。


 初めて自分で新車を購入した当時22~23歳の筆者にとって、ホンダ ヴェゼル(ボディカラーはブラック)は人生で最も高価な買い物だった。汚れが目立ちやすいカラーだからこそ、誰よりも綺麗に大切に乗ろうと心に決め、ほぼ毎週末に手洗い洗車を行い、様々な溶剤を試す日々を過ごした。

 そんな中、大学時代の友人たちとの会話で、クルマを持っている人でも洗車機を使った簡単な洗車に留めている人が多く、そもそもクルマを所有していない友人も少なくないことに気づいた。
そこで、自分が試してきた洗車溶剤の効果をクルマ好きな人たちと共有できる場として、洗車専門のYouTubeチャンネルを立ち上げるに至ったのである。

今回は、筆者が普段愛用している洗車溶剤を使い、サーキット走行後のロードスターを綺麗に仕上げるまでの過程を紹介する。

一般道での汚れとサーキット走行後のクルマの汚れ方の違い

 舗装された一般道を走るよりも、サーキットを一度走行した後の方が、クルマは格段に汚れる印象を受ける。特にブレーキダストの量は、一般道とは比べ物にならないほどで、ホイールは鉄粉によって茶色くくすみ、本来の色がほとんど隠れてしまう。また、ボディ下部にはタイヤカスや細かい砂が付着し、全体にうっすらと黒ずんだ汚れが広がる。フロントやフェンダー周りでは、触るとザラザラした感触が残るほどだ。

 こうしたサーキット走行後の洗車で重点的に行うべきは、やはり鉄粉除去だ。今回は、ボディとホイールの両方に使える鉄粉除去剤と、しつこい鉄粉を取り除くためのねんどクリーナーを使用した。使用した鉄粉除去剤は「モンスターベリーベリーラッシュ」という商品で、鉄粉に反応して紫色に変色するため、鉄粉の存在が視覚的に確認でき、作業効率を大いに高めてくれる。

 また、スプレータイプなので広範囲に噴射でき、ジェル状の液剤はサイドボディのような垂直な箇所でもしっかりと密着し、効果を発揮する。今回はホワイトのボディだったため、鉄粉が紫に変色するのがとても分かりやすかった。

さらに、薬剤がついたままでもブラシでホイールを洗浄できるのもポイントだ。大きなブラシを使用してスポークの隙間一つ一つにブラシを入れ、奥までしっかりと汚れを落とす。ホイールのナット周りなどの細かい部分には、2種類のブラシが付いた「モンスターデュアルブレード」という細部洗浄用ブラシを使用。毛足の柔らかいタイプと芯のしっかりしたタイプを使い分けながら、隅々まで丁寧に洗浄していく。

 

ボディ全体を効率よく洗い上げていく

 一度ボディ全体を高圧水で洗い流したら、次にボディの洗浄に移るのだが、この際、ボディ下部にも高圧水をしっかり当てることをおすすめしたい。理想を言えば、車体を持ち上げて下回りも洗浄することだが、毎回そのような作業は難しいため、せめて高圧水で洗浄するだけでも、汚れの蓄積を防ぐ効果が期待できる。

 

 今回ボディを洗うのに使用したカーシャンプーは、筆者がプロデュースした「MJフレグランスカーシャンプー」だ。香りと泡立ちにこだわり、ボディ全体を大きな泡で包み込んで優しく洗い上げることができる。泡立ちの良いカーシャンプーを使うことで、ボディとの摩擦が軽減され、洗車中に傷がつくリスクを最小限に抑えられるだろう。

 ボディ全体を優しく洗い終わったら、再度高圧水で泡を残さず洗い流す。もし鉄粉が残っている場合は、ねんどクリーナーを使って除去するのが効果的だ。鉄粉の残りを確認するのにおすすめなのが、お菓子の外箱を包む透明なパッケージだ。この透明袋に指を入れてボディを軽く撫でると、鉄粉がついている部分は触り心地が明らかに異なるため、その箇所をねんどクリーナーで擦ることで、より完璧な仕上がりに近づけることができるのだ。

 拭き上げには「ドライモンスター」という大判クロスを使用した。毛足が長く、厚みのあるこのクロスは、一枚で車一台分の拭き上げができる優れもので、途中で絞る必要がない。また、クロスの角に持ち手がついているので、優しく撫でるだけで簡単に水分を取り除くことができる。さらに、ドアの内側や給油口カバーの内側なども忘れずに拭き上げておくと、あとで水跡が残ったり、水が垂れてくるといったストレスを防ぐことができる。

 仕上げには、ガラス専用の「クリーン&リペル」を使用する。この製品は、一度の拭き上げでガラスに付着した油膜や汚れをしっかりと落とし、なおかつ撥水効果も得られる優れもので、筆者自身も長年愛用している。特にサーキット走行では、雨の日にはガラス撥水がしっかり施されているかが非常に重要なポイントとなるため、これらの商品を使ってしっかりと準備を整えた上で、サーキット走行を楽しんでいただきたい。

 

まとめ

 サーキット走行後のクルマは、一般道を走行したときとは比べ物にならないほどの汚れが発生する。洗車の際には、細部にまで注意を払い、適切な道具を使うことが、クルマを長く美しく保つためのポイントである。


 サーキットでの走行は、クルマにとってもハードな環境だが、その分、きちんと手入れをしてやることで、より愛着が深まり、次の走行も安心して楽しむことができるだろう。

くろきみじゅ:1996年生まれの車系YouTuber、自動車ライター、自動車インフルエンサー。幼少期からクルマに親しみ、Super GT観戦や祖母のS2000でのドライブを楽しむ。洗車YouTubeチャンネルを立ち上げ、車中泊95日連泊の日本一周旅やメーカー試乗会での新車紹介動画を制作。クルマの能力だけでなく、作り手の想いも伝えるジャーナリストを目指す。着用したつなぎは、「Auto-Bi」 品番#3950/サイズL。

SNSでフォローする