ポルシェがモータースポーツ界で名を馳せるドイツのレーシングチームであるマンタイレーシングとタッグを組んで開発した、サーキットでの走行性能を向上させる911GT3 RSのアップグレードキット「マンタイキット」を発表。タイプ992の911GT3 RSをベースに、モータースポーツで培った技術で企画したエアロダイナミクスパーツや専用サスペンション、高性能ブレーキコンポーネント、ホイールセットなどを設定
独ポルシェAGは2024年11月22日(現地時間)、サーキットでの走行性能を向上させる911GT3 RS(992)のアップグレードキット「マンタイキット(Manthey Kit)」を発表した。
ポルシェは過去四半世紀にわたってニュルブルクリンクの耐久レースにて数々の勝利を挙げ、2024年シーズンのFIA世界耐久選手権ではLMGT3クラスのドライバーおよびチームの両タイトルを最終戦を待たずして獲得するなど、モータースポーツ界で世界的な評価を確立しているドイツのレーシングチームのマンタイレーシング(Manthey-Racing GmbH)とタッグを組んで、ポルシェ モータースポーツのGTワークスレース運営のほか、純正アクセサリーを手がけるポルシェ テクイップメントを通じてマンタイレーシングとヴァイザッハのポルシェ開発センターが協力して企画したパフォーマンスキットを販売している。今回設定した911GT3 RS用のマンタイキットでは、エアロダイナミクスパーツや専用サスペンション、高性能ブレーキコンポーネント、ホイールセットなどをラインアップした。
エアロダイナミクスパーツに関しては、カーボンファイバー製のフロントスポイラーリップやホイールアーチのガーニーフラップ、フロントバンパーの両側に配したダイブプレーン、上部の整流効果を高める6つのルーフフィン、リアウィンドウから置き換えて25%軽量化を果たしたカーボンファイバーパネル、スポーツカー世界選手権で優勝した963から派生したシャークフィン、スプリットカーボンファイバー製のDRS(ドラッグリダクションシステム)ウィングエレメントおよびエンドプレート、前後方向のバーチカルフィンを組み込んだリアディフューザーを設定。足もとのホイールには、カーボンファイバー製エアロディスクを組み込む。この結果、車速285km/hで1000kg以上のダウンフォースを実現し、高速走行時のコーナリングスピードと安定性を最大化した。
懸架機構の改良も図り、専用セッティングのセミアクティブコイルオーバーサスペンションを採用する。スプリングレートはフロントアクスルで30%、リアアクスルで15%アップ。一方でショックアブソーバーは圧縮段階とリバウンド段階の2つの独立したバルブで動作し、さらに4つのホイールセンサーと3つのボディ加速度センサー、そして新開発のコントロールユニットにより、変化する運転状況や路面状況に対してより緻密かつ正確に反応するようチューニングした。
制動機構の強化も実施する。スチール製のブレーキラインは、ペダルのダイレクトな操作感をさらに高め、レスポンスタイムを短縮。また、ポルシェセラミックコンポジットブレーキ(PCCB)を装備した車両向けに、専用開発のレーシングブレーキパッドを用意した。
アクセサリーの拡充を図った点も見逃せない。“MANTHEY”レタリングを配したカーボンファイバー製イルミネーション付きドアシルガードや、“MANTHEY”レタリングのLEDドアプロジェクター、エアロディスクのカラーデカール、レッド/ブラック/イエローから選べる牽引ストラップなどを設定。また、ネオジム/ホワイト/ブラックのボディカラーではドア部に“MANTHEY”レタリングを装着することも可能としている。
なお、911GT3 RS用マンタイキットは現在、予約注文を受付中。販売はEU市場で2025年1月から、EU圏外では2025年3月から開始する予定だ。EU市場での価格は国別の付加価値税およびポルシェセンターでの設置費用を除いて7万6911ユーロ~(約1230万円~)に設定している。